守田敏也さん講演録 12 〜 ミンスクにて(ベラルーシ)

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翌日のミンスクで行われた、IBB※ という組織のホテルで集まった会議の風景をお見せします。
※ドイツ語の頭文字だが日本語に的確に対応する言葉がない。英語ではAssociation for International Education and Exchange 「国際的な協力と教育の場」となる。ヨーロッパ・アクション・ウィークの企画母団体。「核のない世の中、平和な世の中を求めて、1970年代に学生たち6人が集まって立ち上げ、大きくなってきた組織」←守田さんブログより。
日本人の参加は、高松先生、入江先生、山本先生、山本さんのお連れ合いの由子さん、東京から来たおしどりマコさんケンさん。『週刊MDS』の記者の豊田さん。そして僕でした。
ここでいろいろ話されたことはまだよく消化できていないのですが、入江先生がさっき言われていたようにベラルーシの医師たちの口は確かにすごく固かったですね。基本的な見解はICRPの医師たちが言ってることと同じでした。小児甲状腺がんだけは原発事故の被害として特定されているけれども、事故の収束作業にあたったいわゆる「リクビダートル」の人たちも、一般の人々と比べて健康上にそれほどの差はないと言うのです。小児白血病は明らかに多くて、病棟に対する手当などはすごくきちんとされている印象を受けるのだけども、放射能との因果関係は明確になっていないという答えばかりが返ってくるのです。

【ミンスクの病院と、孤児院】

ベラルーシの病院の医師たちのことを先にお話しましたが、病院見学はミンスクでの会議の翌日に行われました。参加者一行と研究施設や病院を訪問したのです。
初めに訪れたのは、街の中にある放射線の研究施設です。「ベルラド研究所」という名前で、いろいろと説明を受けました。ここの施設は、放射性のセシウムの体内からの排出を促進するといわれているペクチンを作って、商品化しているとも言っていました。
有名な研究所だそうで、いろいろな日本人も訪れている様子がありました。訪問者がおいていった著書が並べてあることから分かりました。
部屋の中にはホールボディーカウンターが置いてあって、座ってすぐに計測できるのですが、正直なところ、計測体制がかなりいい加減に思えました。ホールボディーカウンターの計測では、自然界からの放射線の影響をカットするために、鉛などによる遮蔽板の設置が必要なのですが、何の遮蔽もしていない。椅子に座ってほんの1分くらい経つともうそれで計測されたというのです。これではかなり高い値のセシウムが体内にないと、不検出にされてしまいます。
続いて病院を訪れました。小児白血病の子どもたちなどのための施設です。凄かったです。こどもに対する愛が行き届いているのですね。今回同行させていただいた「関西医療問題研究会」の方たちは小児科の医師が多いので、「うらやましいなあ」「こどもに対してここまでやっているのだなあ」とひたすら感心しておられました。
病院の中を、ぐるぐると一回りしました。いろいろな研究室を訪れ、さらに患児がいる部屋も見せてくれました。隔離病室なのですがガラス張りになっていて外からも中からも見えるのです。何度か子どもたちと手を振りあいました。みんな白血病と闘病中の子どもたちで、頭の毛が抜けている子が多かったです。病になったのは不幸ですが、しかししっかりとした設備で看護されているのが分かりました。かなりお金が投入されているのだと思いますが、国家予算の他、ヨーロッパの国々からの支援が手厚く行われており、この体制が維持されていると聞きました。

びっくりしたことに、病院の周りの敷地内に家がたくさん建っているのです。何なのかと言うと、小児白血病になった子どもと付き添いの親が、地方の村から出てきて、ここに一緒に住めるのです。住みながら1ヶ月間とか長い時間をかけて診察を受けて、手術をするとか長期入院をするとか治療方針を決めていくのだそうです。その経費がすべて無料なのですよ。無償提供されているのです。
実際に病院を出て、家々が立ち並ぶ場にも行きました。瀟洒な、素敵な家が立ち並んでいました。日本の感覚では割と大きな家に、一つか二つの家族が入ると言ってました。
その家並の中を歩いていたら、小さな子どもたちが駆け寄ってくるのですね。その子どもたちは病気の子どもたちではなくて、実はこの家々の中に孤児院もあり、そこの子どもたちなのだそうです。孤児たちを集め、仮のお母さんをおいて、そこで育てられている。
子どもたちは少しだけれど英語を話すのですよ。「カモーン、フレンズ」とか言って寄ってくるのです。その子たちに引っ張られていって家の中も見学させてもらいました。
高松先生たちと次のように話しました。「この現実はどうとらえたらいいのでしょうかね。すごく社会主義的ですね。ぜんぶ無料保証されていて」などなどと。
ところが非常に印象に残ったのは、孤児たちの家に行ったときに、通訳(ロシア語―英語)のベラルーシ人の女性がなんだか暗い顔をしてるのです。何故なのかと思って家を出てから聞いてみました。そうしたら次のように言うのです。
「あの子たち、みんな可愛いでしょう?でもあの子たちはここを出たら必ず刑務所に行ってしまうのです」と。「どうしてですか?」と聞いたら「あの子たちは間違いなくドラッグ中毒かアルコール依存症にはまります。それがあの子たちの運命なのです」と言うのです。なぜなのかというと、ひとつはここにいる子どもたちの家族自身が、アルコールやドラックに犯されてしまい、DVなどで崩壊してしまっているということです。そのために親と一緒に住めなくなって、引き取られてきている子どもが多いのだそうです。そういう子どもたちは高い確率で、自らもアルコールやドラックにはまってしまいやすいのだそうです。
でもそれだけではなくて、そもそもベラルーシにはドラッグが蔓延しているのだといいます。こどもが12歳ぐらいになると麻薬売りが近づいてくるのだそうです。通訳の女性も、「近づいてくるドラッグを拒絶しながら育ってきた」と語っていました。それがベラルーシの社会なのです。
だからせっかくここで温かく育てられても、多くの子どもたちが社会に出て行くと、ドラック中毒やアルコール依存症になって、20代で何か事件を起こし、刑務所に入ってしまうのだと言うのです。

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