市川章人さん講演録連載第10回・危険極まりない老朽原発  

こんにちは。

本日の測定所は かつお節、干し椎茸粉末など 気になる検体の再測定。。
辻本さんがモニターとにらめっこしておられます。がんば!
私はまずブログってことでごめんなすって。

講演録連載も第10回目となりました。
今回はとても気になる老朽原発の話題です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さらにもうひとつは、
日本政府が老朽原発の再稼働に走っているという問題です。
高浜の1・2号機が典型です。老朽原発というのは世界で平均22年なんですね。
日本でも、30年を超えたら老朽原発という言い方をします。
でもみなさん、自分の車で10年以上乗ったらだいたい危ないですね?
僕もラジエーターがいかれたとき新品に換えました。
しかし、ほかのところがいかれていくんですね。
結局、買い換えたほうがよかったんですけれども。
原発の場合はすでに30年ですね。それを40年を超えて運転しようと
いうことを始めているわけです。特に問題なのは、加圧水型です。
西日本は加圧水型、若狭もほとんどそうですね。

加圧水型原発の特徴についてお話しします。
原子炉の中を通るのは300℃くらいの熱湯なんですが、沸騰させません。
沸騰させないために圧力を160気圧かけます。
1気圧というのは、10メートル分の水の柱が乗っかっただけの圧力です。
ものすごい力です。
この1気圧の圧力を、ドラム缶の内と外で差をつけたとしたら。
例えば中の空気を全部抜いたら、バキバキと潰れますね。
逆に、生きている人間を部屋に閉じ込めて外の空気を抜いたらどうなるか、
というのは、731部隊がやりましたね。マルタと呼ばれた捕虜を使って。
内臓が体からはみ出して死んでしまう。こういう、すさまじい圧力です。
その160倍です。これが、原子炉の内部にかかっています。

300℃前後の水を蒸気発生器で、蒸気を発生させてタービンを回します。
これは、蒸気タービンまでは放射性物質は行かない、という
利点はあるんですが、別の問題を抱えています。
原発そのものがものすごく過酷な条件で稼動しているということです。
まず、金属疲労と磨耗。非常に揺れます。振動で。
そして、激しい温度変化による熱疲労。浸食と腐食。
それから原発特有の問題として、中性子が当たることによる
脆性劣化があります。
これは当初、ほとんどの人がご存知なかったんですけど。
中性子が原子炉の金属の容器に当たります。当たれば当たるほど、
金属がどんどんもろくなっていくんです。原子炉の圧力容器、
これは厚さが20センチ前後ある分厚い容器なんですが、
鉄ですから、ガーンと叩いても割れることはありません。
少々変形するくらいです。金属というのはだいたいそうです。
ところが、それがカーンと叩いたら、パキッと割れてしまうような
状態になってしまうことがある。遷移といいます。
本来鉄はマイナス120℃くらいでいかれてしまうので、
それより高い温度ではまったく問題がなかったものが、
中性子を当てているうちに、もろい状態になる温度が上がっていってしまう。
原発の中にはサンプルが入れてありますので、取り出して測ってきた。
すると脆性遷移温度がどんどん上がってきた。
そして、高浜です。1号機で2009年に取り出した監視試験片、
サンプルを見たらもうすでに99℃まで上がっている。
これで何が問題になるかというと、もしここのところでポンプが
故障して止まったとします。
そうすると、緊急炉心冷却装置、ECCSと言いますが、
そういう名前の別の系統がありまして、そこから一気に水を注ぎます。
するとどうなるか。
そのとき原子炉の中にある水よりも、高い温度の水があらかじめ
蓄えてあるはずはないですよね。原子炉内部より低い温度の水をパッと
原子炉に入れたら。ガラスのコップに熱湯をそそいだときと同じです。
熱ければ熱いほど、内側と外側の膨張率は変わります。
僕も子供の頃、親にさんざん言われました。ガラスのコップに
お湯入れたらあかんで、と。あかんと言われるとやってみたくなるんです。
やってみました。パキーンと割れます。
同じことが原子炉で起こる可能性がある。非常に危険ですね。

敦賀1号、美浜1・2号、玄海1号は廃炉にしましたね。
しかしこれは、危険だから廃炉にしたのではないのです。
それは発電の能力を見たらわかる。
発電能力が低いものを廃炉にしたんです。発電能力が高いものは、
動かします。元が取れるからです。恐ろしい話です。
ついこの前、伊方原発の1号機が廃炉と決定しましたね。
ニュースに出ましたね。それは56万kWと、出力が低いです。
金をかけたらもうからない。つまり彼らが廃炉にするかしないかの基準は、
もうかるかもうからないかだけなんです。

これはぜひ広めたいと思うんですが、加圧水型という原子炉は、
また別のアキレス腱を持っています。
先ほどお話しした脆性劣化のことは、沸騰水型原子炉も共通です。
いろんなほかの技術についても。
加圧水型原子炉は特に、振動による被害が起きやすい。
それから、高温の水による被害。
それがどこで起きるかというと、蒸気発生器です。
ここのところに、原子炉から300℃の一次冷却水が来て、出ていきます。
そこに二次冷却水が入ってきて、沸騰して水蒸気になってタービンを
回します。そこにはものすごく細い管が束になって密集しています。
直径が22ミリ、厚さがわずか1.3ミリの細い管です。
これが日本の原発の場合だと約6500本、これが1本ずつ逆U字状に
してあります。ぜんぶ合わせて延長すれば、長さ50km。
100万kW級の原発にはこれを4台つけてあります。
ということは、1台50kmが4台で、総延長200km。
この伝熱細管が今までさんざんトラブルを引き起こしてきた。
何かというと、孔が空くんです。
孔が空くたびに栓をして詰めてきた。
でも、どれもこれも孔が空くのでこれは材料が悪いんだ、ということで
取り替えてきました。孔が空く事故は減ってきた。
ところが、もう一つ別の事故が起きた。
ここに水が流れるだけで、振動が起きる。
細管が曲がったところで振動が起きやすいんです。
みなさんの家で、蛇口を閉めたり開けたりしたときに、どこかでカコーンと
音がしませんか。古い安物の家ではだいたい起きます。
あれは、水が曲がるところで急に水が止まったり出たりすると
振動が起きるんですね。ウォーターハンマー、といいます。
それが伝熱細管で起きやすい。
同時に、水が細管の隙間を通ってザーッと流れますから、
当然振動が起きます。川の中に草が生えていると揺れますよね。
あれと同じことです。
その揺れのために、この細い管が磨耗するという事故が起きる。

1991年2月に美浜原発で、
細管を留めている留め金のところが揺れて、ギロチン破断という
事故が起きました。あわや過酷事故という事態でした。
これについては留め金を替えたり、強化したりということで
なんとか防いできたはずなんですが、最近、ぜんぜん別の事故がおきました。
別種の破損。
2012年1月、アメリカのカリフォルニア州サンオノフレ原発3号機で、
細管同士がこすれ合ったためです。今までは留め金のところで起きていた
ものが、今度は細管同士が擦れ合うためにつぶれた。
2号機もあわや、という状態になった。
問題は2010年11月に、三菱重工製の蒸気発生器に交換したばかりだったのに、
1年ちょっとたった段階で事故を起こして、廃炉になってしまいました。
今、三菱重工はものすごい高額の賠償裁判を起こされていますね。
日本の加圧水型原子炉の蒸気発生器はすべて三菱重工製です。

川内原発1号機は、すでに蒸気発生器を新しいものに取り替えています。
ところが再稼働に当たってサンオノフレ原発で事故が起きてから、
2号機では交換を延期しました。取り替えたら事故を起こしそうで危ない。
しかし、取り替えなくても古いから危ない。
要は蒸気発生器は、地震と津波が起きなくても事故を起こす、という
アキレス腱なんです。

そういう原発を今、さらに長い期間動かそうとしています。
40年までというルールがあったのに、もうなし崩しになっています。
典型的なのは、原子力規制委員会の田中俊一委員長の2016年2月24日の
発言です。「費用をかければ技術的な点は克服できる」。
それならばなぜ、運転は40年までなどという原則を作ったのか。
つまり、原則は作ったけれど結局全部壊していく。
それが新規制基準の実態です。いずれにしても安倍政権にしてみたら、
とにかく原発を全部動かさなくてはならないということですから、
規制委員会はそれに沿って動いているだけ、という話ですね。


原子炉の事故も非常に恐いんですが、少なくとも圧力容器や
格納容器が少しでも残っていればまだなんとかなる、ということが
あるんですが、使用済み核燃料の冷却プールは、むき出しです。
建屋の中にはあるんですが。福島では4号機の場合、
ぐしゃぐしゃになって、プールが崩れ落ちそうです。
ニュースでもやってましたね。
アナウンサーは淡々と話していましたが、聞いているほうは
背筋が寒くなりました。崩れたらどうなるのかというのは、
ちょっとこの分野を知っていたらすぐわかるんですね。
政府も実はシミュレーションしました。2011年3月25日の近藤シナリオです。
当時の原子力委員会委員長の近藤駿介氏に要請しました。
そしたら、東京も含めてものすごい人数が移動しなければならない
大事故になると。蓋も何もないし、崩れ落ちても冷却できません。
容れ物がありませんから、逃げるしかないんです。
自衛隊の統合幕僚長に、できるかと訊いてみた。
絶望的です。すべての人間を動かせません、と。
これは全部の原発共通の問題です。
だから、原子炉は絶対に運転しては駄目なんです。
では止まっていれば安全かというとそうじゃない。
もうすでに、大量の使用済核燃料を入れたプールがある限り、
我々はこれからずっと危機に対応する必要があるんだということです。

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第10回、以上です。
今回は分量が多めでしたが、話のつながりを考えて
一挙掲載させていただきました。いかがだったでしょうか。
とても具体的な、原発についての専門的な知識でしたね。
その事実から導かれる危険がいくつもわかりました。
ほんとうに「背筋が寒い」。怖さでゾーッとします。

そして私は、そのような原発が日本にいくつもあること、
その現場で今日も働いておられる方々のことを考えずにはいられません。
事故に直面された方々。亡くなってしまった方々。
福島の前にも。地震がなくとも。
今回の講演ではふれられませんでしたが、
市川先生は冊子『原発再稼働?どうする 放射性廃棄物』で
2004年8月9日の福井県美浜原発のパイプ破裂事故を
あげておられます。
こちらのブログに福井新聞の引用とされる文章があり、
事故の様子が描写されています。
http://blog.goo.ne.jp/jpnx02/e/511bde0540f12b734a8372689455161b

これには書かれていないもっともっと多くのことがあり、
悲しみがあり、怒りがあり、
持って行き場のない思いがある。
個人ではどうしようもない現実がある。
美しい海に建つ原発のまわりで。

それらを私たちは想像することができるはず。
事実を少しでも知ることから。
私にはこの講演録がその大きな助けになりました。
お読みくださったあなたにも、
役立つことを願います。
そして、誰かの悲しみを誰かとわかちあうことで
強くなれますように。
元気になれますように。
実は、奈良・市民放射能測定所はそれができる場所です。
ツキイチ・カフェとともに。

スタッフ・朝守双葉

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