市川章人さん講演録連載第13回・原子力災害対策指針の検証【避難計画について】

こんにちは。
奈良では台風が過ぎ去り 秋晴れ!という青空が広がっています。
山のほうに雲はあるものの、爽やかです。
みなさま お子さんの運動会や 体育祭は無事に終わられたでしょうか。。

きのう、福井県美浜原発について大きな動きがありました。
〈美浜3号機の「審査書」了承、審査合格は全国で8基目|MBS 全国のニュース〉
http://www.mbs.jp/news/national/20161005/00000054.shtml
このニュースによると
「これで、再稼働の前提となる最初の審査に「合格」したことになります…
…今後、美浜原発の再稼働には、残る通常の審査に加えて、運転開始から40年を迎える前の今年11月末までに、老朽化対策の審査に合格する必要があります。(05日20:00)」
とのこと。

もしも本当に再稼働されたら。
事故の可能性がとてもリアルに、身に迫るように感じられます。
(講演録連載第10回「危険極まりない老朽原発」)

杞憂に終わることを願う一方で
実際に原発事故に直面してしまったならば
国がどのような対策をあげているのか。
第13回、どうぞ。

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3.原発事故!住民は?
国の「指針」は避難計画でなく被ばく計画
2015.4.22に「指針」をさらに改悪
せめてヨウ素剤を全地域に


これは一番大きな問題のひとつなんですが、避難経路の問題。
2012年に、原子力災害対策指針を、原子力規制委員会が出しました。
いざとなったら避難する範囲はどこか、あるいはその条件はどうか、
というガイドラインです。

まず、PAZ(Precautionary Action Zone)を5km圏内に決めました。
何かあればややこしくなる前に逃げるという範囲です。
もうひとつは30km圏内、
UPZ(Urgent Protective action planning Zone)。
これはいよいよことが起きたときにある一定の事態になったら逃げる、
という範囲ですね。ここまでが、住民避難をする場所です。

福島の事故では飯舘村が典型なんですが、そこは50km以上離れていました。
あそこにものすごい高レベルの放射性物質が流れてきましたね。
いわゆる放射性プルームです。
そういうものが来たときの対策も必要ということで、
もうひとつPPA(Plume Protection planning Area)
という概念ですね、
これはだいたい50kmを参考値として考えているんですが、
ヨウ素剤を飲ませる必要があるというふうに考える概念でもあります。

問題がいくつかあります。
ひとつは、30kmと決めたのは、実は狭すぎるんです。
だいたい福島原発事故並みの事故を想定しているんですが、
あれはあれで幸い止まった事故なんです。
もしも4基分の放射性物質がぜんぶ流れていたとしたら、
1400倍になります。
もっと凄まじい事故もあり得るんですね。

もう一つの問題。
避難するのは「7日間で100mSvを超える」と想定される地域。
政府のシミュレーションでは、そこを逃がすんです。
しかし100mSvというのは、どうですか。
この値自身がものすごいんです。
そんな値を超えないと、避難する地域に入れてくれない。
だいたい今の法律は、年間1mSv以下でないといけない、
ということになっているでしょ。

もう一点。これは専門家でないとわからないんですが、
データ処理を非常に意図的にごまかしているんです。
濃い値の線量のデータを外しています。
高い側から4%を抜く。
濃い方を外すので値がガーッと下がるんです。
そうすれば、うまく30km前後になるんですね。
データを外さないでぜんぶ入れたら、避難しなければならないのは
60km圏内になる。奈良で、高浜原発から96kmくらいでしたね。
もちろん、地震・津波など複合災害のことは考えていません。
使用済み核燃料プールについても考えていません。

そして、2015年4月の段階でこのガイドラインを改定して、
PPA、一番外側のラインをなしにしました。
そして、SPEEDIの予測が非常に不正確だから使えません、と
言い出したんですね。
今までこのコンピュータシステムのために
130億円の予算をかけているんですよ。
それを信頼できないからやめた、と。
同時にヨウ素剤を飲ませる区域もなくしました。

PPAはなくされましたが、
若狭の原発の30km圏内、UPZだけでも大変なことになります。
京都からものすごくたくさんの人間が
避難しなければならない範囲に入っています。
「被害地元」、ということで今我々はたたかっております。

実は政府の30km圏内のシミュレーションはどうも怪しいんです。
そこで、兵庫と滋賀は独自にシミュレーションを行いました。
このデータをご存知の方もあるかと思います、
大飯原発で事故があり、南に風が吹いたと想定したものです。
7日間で100mSvを超える地域は、
政府の基準でも避難しなければならない。
ところが、30kmをはるかに超えるところがそうなったんです。
滋賀県はUPZを43kmまで広げました。それでも不十分ですね。
100km圏内となると、奈良の最北端は生駒市で、届きますね。

兵庫県は大飯原発から30km圏内には入っていませんから、
ヨウ素剤を飲むべきPPAの計算だけをしました。
そしたら、兵庫県の41市町のうち38まで、
ヨウ素剤を飲むべき地域が出てくる。
そうすると、福井とか京都から避難していく先の場所から、
みんな逃げていくんです。
福井県から兵庫県に避難して来ても、兵庫県からも避難していますから
誰もいない、という。そういう事態が本当に起きるんです。
逃げる範囲を関西広域連合で相談しているんですが。
舞鶴から逃げる場合は、風向きを見て決めるという。
風向きが途中で変わったらどうするんでしょうかね。

原子力規制庁の資料によると、事故の段階は三つに分けてあります。
3まで行くと最終的には漏れる、大事故ですね。
原発から5km圏内は初期の段階でいろいろやっていきます。
「事態の進展」が進む段階に来るまでに、
逃げろという指示がくるわけですね。
これでも間に合わず、放射性プルームに追いつかれるかもしれないんですよ。
1、2ではなんの指示もない可能性がある。

問題はUPZ。
漏れた、つまり「施設外への放射性物質放出」が起きたとき。
そこで、さあ今から調べます、というんです。
漏れているのはわかっているんだけど、今から実測しますから待てと。
待たせて、1時間あたり500μSvを超えたら、
数時間以内に避難先を指示しますからそれまで待てと。
こんなふざけた計画です。
放射線をバンバン浴びた後でないと逃がしてくれない。
もちろん待たないで早く逃げるべきです。

そして30km以遠では、SPEEDIによる予測をやめて、
どうするのかというと実測値にすると。
その方が正確だから。当たり前ですよね。
問題はその次です。
その段階でヨウ素剤を飲んでも効果はないからやめます、と
言い出したんですね。屋内退避すればじゅうぶんだと。
これは逆です。
予測しないんだったら全員にヨウ素剤を配るべきです。
安いもんですから。

指針通りだとぜんぶ自己責任になっちゃうんですね。


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第13回 ここまでです。
次回第14回もどうぞよろしくお願いいたします。

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