日別アーカイブ: 2017年8月15日

川根眞也さん講演録〈第21回〉●岐阜県土岐市の核融合施設からトリチウム排出●日米原子力協定とプルトニウム

こんにちは。
本日 第21回は長い標題ですが。。
●で区切った2つの問題は
実は ひとつのことです。
つながっている。延長線上。根が同じ。

今日は少し分量が多いですが一気に行くべきなので
よろしくお願いいたします。

それにしても
講演会場のお客様
よくぞこの質問をお出しくださったものです。
私は岐阜県のこの施設を知りませんでした。
感謝します。

では。

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(質問)
《岐阜の核融合実験施設の危険性についてどう思われますか》

核融合実験によって出されるトリチウムの量は
非常に微量だとは思うんですが、
トリチウムとは、簡単に言うと水素です。
水素ですが、中性子が多い水素です。
中性子が陽子に変身するときに
ベータ線という電子を出します。
ベータ線しか出さないのがトリチウム。
「原発村」の人たちは、
このベータ線の電子のエネルギーは非常に小さいから
人体にはあまり影響ないんだ、という言い方をします。
ところが、水素とは水の材料なんですね。
我々の体の 60 パーセント以上は水からできています
(胎児は 90%)。
DNA も必ず水素結合していますから、
DNA にもいろんな場所で水素があります。
これがベータ線を出すと何に変わるかというと、
ヘリウムです。
水素でくっついていたものが、
その部分がヘリウムに変わりますから、切れます。
簡単に言うと、DNA だとか、いろんな場所が、
細胞膜の一部分まで含めて
穴が開いたり切れてしまうということです。

トリチウムが私たちの体に取り込まれたときに、
どんなに危険か。

放射線防護委員会(ICRP)の理論は
トリチウムはエネルギーが低いから大丈夫と
言っているにすぎない。
トリチウムが我々の生きている体の中に入ってきたとき
どんな振る舞いをするか。
それを実験で突き止めるのはまず無理です。
ただし、トリチウム汚染があるところには
子供のガンが増えるという研究報告がいくつか
ありますので、やはり非常に危険だろうと思います。

トリチウムとは実験が失敗して漏れる、
というのではなくて、
実験をやり続けている間、
恒常的にトリチウムを出すということです。
玄海原発でもそれが問題になっています。

六ヶ所村の再処理工場を 2018 年までに完成させる、
という話になっています。
原発に反対していらっしゃる方は多いかと思いますが、
実は原発だけ止めたって、原発は止まりません。
2011 年に野田政権が一旦
原発ゼロ政策を言いましたが、
その政策はあっという間に潰れました。

なぜか。
それは、アメリカとの日米原子力協定があるからです。

世界の核保有国はどこもプルトニウム抽出をやっています。
アメリカも中国もロシアもやっています。
北朝鮮もやって、核保有国になりましたけれど。

日本は、非・核兵器保有国です。
世界で、非・核兵器保有国でありながら
使用済み核燃料の再処理で
プルトニウム抽出の権利を持っているのは
たったひとつ日本だけです。
それを認めているのが日米原子力協定です。
アメリカが日本にプルトニウム抽出を許可している。
それが来年 2018 年 7 月に、有効期限が切れます。
この協定を保持すれば、
日本は使用済核燃料からプルトニウムを抽出し続ける
ことができるのですが、
この協定を破棄すれば、
日本はプルトニウムをすべて返して
再処理をやめることができます。

青森県六ヶ所村には日本中のあちこちの原発から
運ばれた使用済核燃料があります。
プルトニウムを抽出するまでの、
一時的な処置として預かっているだけなので、
原発をやめたら、
すべての使用済核燃料をそれぞれの原発に
戻さなければならない。
日本中の原発がとんでもないことになるんですね。
保管する場所がありませんから、
「トイレなきマンション」、という形で
ずっと動かしているのですから。
そして日本が原発をやめるとなると、
使用済核燃料からプルトニウムを取り出す必要がなくなります。
それでも日本がプルトニウムを抽出するということは、
核兵器を作る意思がある、ということを
世界中に表明することです。
それが来年7月に迫っています。

六ヶ所村の再処理工場を動かす、と言っていますが、
そんなことはやめるべきだし、
日米原子力協定は破棄すべきです。
そして、アメリカにプルトニウムを差し上げればいい。
イギリスにも。
日本が本当の意味で非・核保有国になればいいんです。
これは、日本は決して核兵器を作らない、
という宣言にもなります。
北朝鮮に対して、
日本は核ミサイルを持たないよ、
さらにはアメリカの核兵器も入れないよ、
だから北朝鮮も核ミサイルをやめてくださいという
話ができるようになる。
だけど日本がいつプルトニウムから核兵器を
作るかもしれない能力と条件を持っていながら、
北朝鮮の核実験だけ禁止しろなんて
都合のいい話をしています。

六ヶ所村の再稼働は実はそういったことと絡んでいます。
やはりプルトニウム抽出をやめる、ということが
原発に使わないということであり、
では今までにたまったプルトニウムをどうするかというと、
二足三文で売ればいいんです。
日本から出すべきです。

それを日本はまだ持ったままです。
六ヶ所村の再処理工場を動かして、原発も動かして。
それが日本の現状です。
原発に反対するんだったら、
日米原子力協定もやめにしなければならない。

最もトリチウムが出るのは、
この使用済み核燃料を切ったときです。
大量に出ます。
よく、トリチウムは宇宙線が当たって
水がトリチウムに変換するもので、
自然界にあるものだという言い方をしますが、
とんでもない。
その何倍もの量が一つの核燃料を切っただけで出ます。
最もたくさん出たのは大気圏内核実験のときだったんですけれども、
現在では加圧水型原子力発電所を動かしたときと、
もっとひどいのはプルトニウムを取り出すために
使用済み核燃料を切ったときに
大量のトリチウムが出ます。

そういったことにつながるような、
岐阜県の核融合実験施設でもトリチウムが日常的に出る。
量そのものは、原発に比べて低いと思いますね。
ただ、7月7日までの月曜から金曜、
15 分置きにやると言っていますから。
3月7日から岐阜県土岐市でもう行われています。

この核融合実験施設でまたもう一つ厄介なことがあります。
これは今までの加圧水型・沸騰水型原発ではだめだ、
では次は核融合だ、というもう一つのエネルギーを
作り出すための実験につながるものですから。
また「原発村」が彼らの利権を守るために、
目新しい核融合施設で発電もできるんだよと
宣伝するためにやっています。
そういう点もまた問題だと思います。

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(合わせてどうぞ)
トリチウムの環境動態  
阪上正信 核融合研究 
第54巻第5号1985年11月 解説 より
| トリチウム | 内部被ばくを考える市民研究会
http://www.radiationexposuresociety.com/archives/3434

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(第21回終わり)

極めて重大な問題ですね、
原発にからむ問題をいくつもはらんでいる。

しかしつくづく、川根さんのものすごい仕事量と
核心を突き抜く目線に
頭が下がるばかりです。

お伝えする側の うちらも頑張ってますよ♩
連載のすべてをまとめて文書化する作業も
プロフェッショナルなスタッフが
本業の合間を縫って進めています。
連載と作業が終わったあかつきには
まとまった形でみなさまにお読みいただけるように
なります。

次回第22回は
「小中学生に対する放射能関連の教育について」。
これも濃ゆいぞー。

スタッフ・ふた

追記:
昨夜 このブログの閲覧数は 一けた増えました。
川根さんが ご自身のツィッターでご紹介くださったからですね。
初めて このブログを訪ねてくださったみなさま
ありがとうございます。
どうぞごゆっくりお過ごしください♩
お役に立ちますように。

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