カテゴリー別アーカイブ: 活動報告

無料測定まつり

皆様こんにちは、スタッフのすどうです。

 

11月27日、奈良・市民放射能測定所の「無料測定まつり」を開催しました。
通常 放射能測定にはお金がかかりますが、この日は無料!

 

会員さんじゃなくても、普段食べている食べ物や、庭の土に放射能が含まれてるのかどうなのか。
調べるチャンスなのですよ♪

 

測定以外にも無農薬無化学肥料のピカピカのお野菜とかも販売します。

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卵はもちろん餌も測定してくれる、とっても誠実な卵屋さんの平飼い卵とか。

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測定はこんな感じでします。

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測定している間、ケーキを食べながらおしゃべり出来ます。

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この日は雨にもかかわらず、沢山の方にお越しいただいて、大賑わいでした。

 

実はね

 

最近は測定依頼もとんと減り
もうみんな放射能の事なんて忘れちゃったかな。
考えたくないのかな。
どうでも良くなっちゃったかな。

 

って、ちょっと思ってたのです。

 

私自身もね、
もう放射能の事なんか忘れて生活したいなあって、しょっちゅう思うのです。

 

私は普段の生活でも、避難者であることや測定所のスタッフであることをオープンに話すのですが、「放射能」って言っただけで相手の表情が変わるのわかるんですよね。
一瞬で私に対する目線が変わるのがわかりますし
一瞬で「変な人カテゴリー」に入れられたのがわかるんです。

 

そんな時はいつも胸がズキンとする。
顔も名前もオープンにしている私でさえそうですから、普通のお母さん達は、そんな目線がどれほど怖いだろうと思うのです。

 

でもね、この日は、小さな子を連れた若いママや、30代の若いご夫婦が何組もいらしてね。

 

避難者さんも沢山いてね。

「私は柏から避難して来たの」

「私は東京から」

「大変だったよね」

「でも奈良に来れて良かったね」

って、ママ達が話すのを見てたらね

 

持って来た食べ物
「汚染されてなかったね、良かったね」って、
微笑むのを見てたらね

 

小さな子をしっかり抱いて
かわいいママに寄り添う
若いパパを見てたらね

 

奈良の小麦粉で作ったシフォンケーキをほおばる
かわいいほっぺた見てたらね

 

やっぱり私はこの人たちの気持ちを守りたい。
ただひたむきに小さな命を守ろうとする親たちの気持ちを守りたい。
奈良に一つしかない放射能測定所に、こうやって集まる人たちの気持ちを守りたい。
こうやって本音を語れる場所を守りたい。

 

そう思いました。

 

測定所もまだまだ頑張らなくちゃね。
先は長いものね。

 

そのためにも、もっともっと多くの方に知っていただけますように。
力を貸して頂けますように。
私たちも努力します。

 

測定しないと来ちゃいけないとか
会員じゃなきゃ入れないとか
そんな場所じゃないですよ。

 

火、木、日曜日は開いていますから
気軽にお茶しに来て下さいね。

 

私たちは
1人でも多くの子ども達が
当たり前に守ってもらえる世の中になって欲しいだけ。
同じ思いの人なら大歓迎です。

 

どうか何も起こりませんように。
どうか1人でも多くの子ども達が
これからもかわらず命を繋いでいけますように。

 

無料測定まつり、次回は来年2月に開催予定です。

市川章人さん講演録連載第17回(最終回)質疑応答

こんにちは。
時折 陽は射しますが、少し肌寒いような日ですね。

昨日の都内大規模停電。
このブログをお読みくださっている方のなかにも
とんだ不自由や大変な目に遭われた方があるかもしれません。
一時間後に全面復旧したと報道されていますが、
大丈夫でしたでしょうか。

原因には送電線が経年変化したためという可能性もあるとのこと。
高電圧に対応可能な太さ13センチもあるものだそうですが、
これと同じものが 原発の施設に使われていることはないでしょうか。
今回発火してしまったもののように、
長い年数、使われていたりはしないでしょうか。
原発自体が40年運転してきたわけです、
送電線はどうなのでしょうか。
停電、電源喪失、という言葉に芯からの戦慄を覚えますね。
(本日の掲載分の中で、市川先生は原発の高圧送電について
少し触れられています。)

重いテーマでくじけずに、
熱く かつ冷静に 勉強を続けてきましたが、いよいよ最終回です。
質疑応答部分をどうぞ。


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【質疑応答】

Q:大人のがんが福島で増えているのか、その情報はお持ちでしょうか。

A:(市川)僕のほうではそういう情報はないんですが。
入江先生、いかがでしょうか。

(入江Dr)がん登録が非常にずさんなので、それはわからないですね。
探してはいるんですが。
(市川)小児甲状腺がんだけは情報を出している、
出しておいて、被曝の影響とは考えられない、と言い張っているんですね。
(☆注)

将来に現れるがんを早めに発見したにすぎない、とまで言っていますね。
ではいくらぐらい先に現れるがんを発見したのか、というと、
74歳ぐらい、と言いますね。
70年も先のがんを本当に発見したのだろうかと不思議なんですけどね。
そういう医療関係は僕は専門家ではないのでなんとも言えませんが、
疑問を感じることはいっぱいあります。

→☆注・DAYSJAPAN 2016年10月号38ページ 小児甲状腺がんを追う③
「発表される福島の被害は正しいのか?」
「首相官邸ホームページが伝えた数字」…以下の記事が
参考になるかと思います。(朝守)

Q:リニアモーターカーの計画が進んでいますね。
リニアモーターカーは大量に電力を消費するということですが、
そのことを浜岡原発をこれからも稼働させる根拠にするつもりなんでしょうか。

A:リニアを動かそうと思ったらものすごく大量に電気がいりますね。
磁気浮上するという、原理は僕らにはおもしろいんですが。
そこで原発が必要だ、というのが彼らの理屈ですね。
原発の問題だけではなくて、リニアそのものの問題が多いですね。
トンネルが多いので環境破壊や、地下水の枯渇がある。
それから電磁波が人体に与える影響が日本ではほとんど解明されて
いないんですが、非常に強い電気を使うので、影響がありうる。
そういう意味では原発だけではない、これもまた問題だらけの技術です。
しかも、ちょっと移動時間が速くなるくらい。
何がいるんや?と思いますね。
これ以上急いで生活しなければならないのか。

原発は夜中も運転します。
稼働率をみると、原発は100%が基本です。
変化させると危ないですから。
夜も作られる電気を使わなければならない。
そこで、コンビニの深夜労働という、とにかく夜に電気を使わせる
仕組みが作られました。
そこらじゅうで無駄使いをしながら、夜も昼も働く社会が作られました。
リニアはさらに輪をかけるのか、という気がします。
そういう意味では、原発を止めることで、
もっと穏やかな社会になるのかなあ、といろんな意味で感じます。

Q:4月から電力の自由化が始まりますが、
消費者が電気を選ぶことができるようになることによって、
原発政策を変えることはできるでしょうか。

A:ただ言えることは、これはひとつのチャンスだということです。
それはアメリカが、いわゆる電力自由化のもとで
原発から手を引かざるを得なくなりましたね。
それが実は日本の東芝や三菱などが原子炉メーカーを傘下に収める
きっかけになっているんですよ。
日本で事故になったものだから、彼らは財政的に困っているんですね。
いずれにしても、自由化というのは、
原発の電気を安いからと今まで売ってきたことに対して大きな影響を与えます。
もちろん資本主義社会の競争ですから、
手放しに自由化されることがいいとか、あるいは関電以外ならいいとは
簡単にはいえませんが、少なくとも原発の電気は買わへんよ、と
関電には示したいなと。
もちろん本当に大事なのは、
自然再生エネルギーへの取り組みが広がることです。
私は今のところはとりあえず大阪ガスに切り替えています。
私の家の屋根には太陽光発電機を取り付けられないので。

いろんな電力会社が売る電気は、
必ずしも自前の電気ではないということにも注意しておく必要があります。
注文が増えて電気が足りないと、
やっぱり関電の電気を混ぜて売ることがあるので、
そこも注意してみておかないと、なかなか難しいところはあります。
ただ目的は、
とにかく原発を動かそうという流れに痛打を与えることですね。
そのためにどうしたらいいのかということは、
これが正解だということはいえない。
商品選びだけで話すと単純すぎるかとは思いますが、
最終的にはある段階では商品選びをやり、またその先で
自然再生エネルギーに切り替えるとか、いろんなことを含めて
議論して関電を困らせていけばいいのではないか、
という気はしていますけれども。
今お答えできるのはそのくらいです。
ただ、商品選びのやり方として、安いからこっち、というだけでは
不十分だと思います。
高くてもこっちを買う、ということもありえます。

Q:避難区域でPPAをなくしたということですが、
これは福島の帰還を勧めるということと関連するのでしょうか。

A:PPAをやめた理由としては、
表向きはSPEEDIの予測が不正確だからとしか言いません。
ヨウ素剤をなぜ飲ませないのかについても、
そういう議論をしている文章を全部繰り返し何度も読んでいくと、
非常にわかりにくい形でそれが書いてあった。
結局、その段階で飲ませてもだめだ、ということに尽きていると
いうことがわかりました。
彼らはほんとうに、そういうことをきちんと表には出しません。
福島の帰還への影響はどうか、というと、
もちろんそんなことは書いてありません。
全くそこはわからないですね。

Q:太陽光発電は高くつく、ということが宣伝されていますが、
自然再生エネルギーのほうが実は安いのではないかと感じたのですが、
実際はどうなんでしょうか。

A:僕も経済学の専門ではないのですが、少なくとも、
事故を処理するぶんを入れたら間違いなく、
飛び上がるほどに費用は上がりますね。
それから我々はいわば原発を維持するための費用を電気料金で
まだ払わされてるでしょ。だから、電気料金だけ見ていたら
安いように見えるけれども、その他の、税金でいろんな補助を
しているところとか、事故の費用を入れたら
間違いなく原発のほうが社会的には高くつく、と言えますね。

もう一つ、技術的に言うと。
原発の電気を作る場所は、遠方にありますね。
消費地からかなり遠いんです。
そうすると、送電の段階でむちゃくちゃロスが出る。
日本は送電のロスを減らすために、ものすごい高圧線にしたんですが、
それでもロスは大きいですね。
全国の原発を動かしても、原発6基ぶんくらいは送電のロスで
使われてしまうと従来から言われてきた。

地産地消で自然再生エネルギーをその場で使うというのは、
ある意味で経済的にも最終的には大きな効果を生むだろうと
言われています。現在の技術レベルで大量生産ができたら、
もっともっとコストは下がる。ドイツの例がそうなんですね。
太陽光パネルが普及していく中で、
取り付ける費用が下がっていくということもあります。
それは今後の展開でどんどん変わり得ます。
そういうことで、未来があるといえますね。

Q:先日ベルギーで起きたテロで、
ISが原発を狙っていたという計画が報道されましたが、
国家レベルのミサイルのようなものでなくとも、
もっと原始的な攻撃で原発に損傷を加えられる可能性はあるんでしょうか。

A:今回の、新規制基準に「テロ対策」というのがありますが、
あれは侵入を防ぐための強化を行う、というものです。
あるいは、何かあったらテロ対策用の場所を作るとかそんなようなものです。
本当にそれにどの程度の効果があるかということになると。
日本の場合は軍隊は動きませんね、
アメリカなんかは、原子炉の周りで軍隊が行動できるようにしてあります。
日本はそういう点でも非常に弱いだろうし、まして、ミサイルや飛行機と
いった国家的なテロに対してはまったく力はありません。
原発がテロの標的にされた場合にはものすごく深刻なことになる、
ということには間違いがありません。
侵入を必ず防げるか、についても、
日本みたいな、経験のないところができるかというと、
非常に大変ではないかと思います。

日本の原発は山に囲まれた湾に作ってありますね。
もんじゅは施設へ通じるトンネルの前で厳重な警戒をしていまして、
むちゃくちゃチェックされますが、
後ろの山から回れるんじゃないかと思って僕は見ていました。
フェンスなどは設置されるかもしれませんが、
本格的な作戦を取られた場合にそんなものは持つのでしょうか。
絶対に安全だとは思いません。

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ここで時間いっぱいになったので質疑応答は終了です。
施設を出て、測定所まで徒歩5分で戻り
あとは楽しい懇親会でした♩
市川先生を囲んで、さらに熱い!!トークが炸裂!

スタッフのおじさまが市川先生と同じ大学のご出身であったり、
代表の辻本さんと 高校の先生としてのさまざまな経験や
考えを語り合われたり。
もうめちゃめちゃ勉強になり、
すごい人たちがいるものだなあと。。。感じ入りつつ、
感動を覚えたのでした。

この知性。気力と熱意。疑問に感じたことや、
浮き上がった問題に切り込んでいく素早さと鋭さ。
執念といってもいいほどの粘り強さと、強靭さ。
そして、暖かさと優しさ。思いやり。
市川先生に私はそれを見ました。
出会われた方はみなさんそうではないかと思います。
たくさんの教え子さんたちを始めとして。

この場を借りまして、市川章人先生に心からのお礼を
申し上げます。
ありがとうございました。

そして、これだけの分量を読み通され、
私のつたないコメントにお付き合いくださったみなさまに。
ほんとうにありがとうございました。
どうかお役に立てられますように。

テキスト及び資料や図版の整理、編集はスタッフ・とり さん、
講演文字起こしと構成は スタッフ・ふたでお送りしました。
みなさまどうぞお元気で!

市川章人さん講演録連載第14回・原子力災害対策指針の検証(続)

どんより曇っていますが、本来とてものどかで美しいところ。
釣り人?の姿が見えますね。
でも、遠くに見えるのは美浜原発。
一番左の 大きいのが、三号機ですね。
その隣にふたつ並んでいるのが、廃炉と決まっている一号機、二号機。

ここからも、どこの原発からも
放射性物質など漏れださないでほしい。
今は運転が止まっているということだけが、せめてもの救いなのですが。

では第14回、続けて 避難計画について。どうぞ。


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京都の例ですが、モニタリングポストが31カ所にあるんですが、
うち14カ所は10μSv/hまでしか測れません。
それで何が問題になるかというと、
1時間あたり500μSvだと即時避難ですね。
もうひとつ、避難の基準があります。
20μSv/hが1日続いたら1週間以内に一時避難の指示が出る、と
いうものです。
これさえも、京都ではじゅうぶんでないところがいっぱいあります。
測れない。
奈良は4カ所ありますが、20μSv/hまで測れますので
それにはなんとか対応できますかね。

30km以遠の場所については次のことが問題になってきます。
緊急防護措置の除染基準としてベータ線が40,000cpm。
汚染された場合にその人の皮膚から数センチの位置で測った場合に
1分当たりにベータ線が四万本出るようなら除染しますと。
わけがわからないですね。
ヨウ素剤を飲ませる範囲が、50mSv/h(7日間の累積量)。
ベータ線が40,000cpmというのは、このだいたい6倍に当たります。
かなり汚染された人でももう除染をしないで、避難してもらうんです。
例えばそういう人が奈良に来たとします。例えば車ごと。
周りが汚染されてしまいます。失礼ですが。
政府のガイドラインは、そこら中に汚染を広げるガイドライン
でしかないし、被ばくした本人も周りも助かるようなことを
ひとつもしないという。避難計画ではなくて、被ばく計画です。

奈良は琵琶湖の水は使っていませんが、大阪はぜんぶイカれますね。
近畿一円の経済活動がぜんぶストップする可能性がある。
ヨウ素は1週間ほどは除去できないと思います。
これは滋賀県のデータから言えるのですが。
ペットボトルに水を溜めても、おそらく1週間分も備蓄できません。
例えばうちには孫がいますが、孫にペットボトルの水を飲ませて、
まあ僕は琵琶湖の水を飲まなあかんな、と思いますね。

そこで、せめてヨウ素剤を飲んでおきたい、という話になりますね。
30km以遠でもヨウ素剤を準備をしようとしている自治体が
いくつかあります。
すでに篠山市では自分たちでしっかり勉強しているから
すでに配ってます。
しかし京都の亀岡市は、せっかく買おうとしていたのに
PPAが廃止されたのでもたもたしています。
最近になってようやく買うとか言い出したようですが。
京都市は買ってはいるんですが、どうするのかと聞いても答えません。
ほんとに曖昧になってきています。
近畿一円のいろんな自治体でね、
ヨウ素剤を置く必要をわかってもらえるように話をしていくことが
非常に重要だと思います。


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避難計画について 二回連続でお届けしました。
今回の話題については、
守田敏也さんの著書
『原発からの命の守り方』(海象社)を併せて読まれたら
さらにわかりやすくなります。
そこから抜粋すると、ヨウ素剤は
「国内で買えば、ヨウ素剤は 2錠で10円ぐらい」(p198)。
「仮に4万人の町として全員分を購入しても、
一回分で40万円しかかかりません」(p241)。

ヨウ素剤の入手方法や飲むタイミングについて、
兵庫県篠山市の原子力災害対策についても
詳しいです。
測定所の残りあと2冊となっております、
ご関心あればお問い合わせください。

市川章人さん講演録連載第10回・危険極まりない老朽原発  

こんにちは。

本日の測定所は かつお節、干し椎茸粉末など 気になる検体の再測定。。
辻本さんがモニターとにらめっこしておられます。がんば!
私はまずブログってことでごめんなすって。

講演録連載も第10回目となりました。
今回はとても気になる老朽原発の話題です。

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さらにもうひとつは、
日本政府が老朽原発の再稼働に走っているという問題です。
高浜の1・2号機が典型です。老朽原発というのは世界で平均22年なんですね。
日本でも、30年を超えたら老朽原発という言い方をします。
でもみなさん、自分の車で10年以上乗ったらだいたい危ないですね?
僕もラジエーターがいかれたとき新品に換えました。
しかし、ほかのところがいかれていくんですね。
結局、買い換えたほうがよかったんですけれども。
原発の場合はすでに30年ですね。それを40年を超えて運転しようと
いうことを始めているわけです。特に問題なのは、加圧水型です。
西日本は加圧水型、若狭もほとんどそうですね。

加圧水型原発の特徴についてお話しします。
原子炉の中を通るのは300℃くらいの熱湯なんですが、沸騰させません。
沸騰させないために圧力を160気圧かけます。
1気圧というのは、10メートル分の水の柱が乗っかっただけの圧力です。
ものすごい力です。
この1気圧の圧力を、ドラム缶の内と外で差をつけたとしたら。
例えば中の空気を全部抜いたら、バキバキと潰れますね。
逆に、生きている人間を部屋に閉じ込めて外の空気を抜いたらどうなるか、
というのは、731部隊がやりましたね。マルタと呼ばれた捕虜を使って。
内臓が体からはみ出して死んでしまう。こういう、すさまじい圧力です。
その160倍です。これが、原子炉の内部にかかっています。

300℃前後の水を蒸気発生器で、蒸気を発生させてタービンを回します。
これは、蒸気タービンまでは放射性物質は行かない、という
利点はあるんですが、別の問題を抱えています。
原発そのものがものすごく過酷な条件で稼動しているということです。
まず、金属疲労と磨耗。非常に揺れます。振動で。
そして、激しい温度変化による熱疲労。浸食と腐食。
それから原発特有の問題として、中性子が当たることによる
脆性劣化があります。
これは当初、ほとんどの人がご存知なかったんですけど。
中性子が原子炉の金属の容器に当たります。当たれば当たるほど、
金属がどんどんもろくなっていくんです。原子炉の圧力容器、
これは厚さが20センチ前後ある分厚い容器なんですが、
鉄ですから、ガーンと叩いても割れることはありません。
少々変形するくらいです。金属というのはだいたいそうです。
ところが、それがカーンと叩いたら、パキッと割れてしまうような
状態になってしまうことがある。遷移といいます。
本来鉄はマイナス120℃くらいでいかれてしまうので、
それより高い温度ではまったく問題がなかったものが、
中性子を当てているうちに、もろい状態になる温度が上がっていってしまう。
原発の中にはサンプルが入れてありますので、取り出して測ってきた。
すると脆性遷移温度がどんどん上がってきた。
そして、高浜です。1号機で2009年に取り出した監視試験片、
サンプルを見たらもうすでに99℃まで上がっている。
これで何が問題になるかというと、もしここのところでポンプが
故障して止まったとします。
そうすると、緊急炉心冷却装置、ECCSと言いますが、
そういう名前の別の系統がありまして、そこから一気に水を注ぎます。
するとどうなるか。
そのとき原子炉の中にある水よりも、高い温度の水があらかじめ
蓄えてあるはずはないですよね。原子炉内部より低い温度の水をパッと
原子炉に入れたら。ガラスのコップに熱湯をそそいだときと同じです。
熱ければ熱いほど、内側と外側の膨張率は変わります。
僕も子供の頃、親にさんざん言われました。ガラスのコップに
お湯入れたらあかんで、と。あかんと言われるとやってみたくなるんです。
やってみました。パキーンと割れます。
同じことが原子炉で起こる可能性がある。非常に危険ですね。

敦賀1号、美浜1・2号、玄海1号は廃炉にしましたね。
しかしこれは、危険だから廃炉にしたのではないのです。
それは発電の能力を見たらわかる。
発電能力が低いものを廃炉にしたんです。発電能力が高いものは、
動かします。元が取れるからです。恐ろしい話です。
ついこの前、伊方原発の1号機が廃炉と決定しましたね。
ニュースに出ましたね。それは56万kWと、出力が低いです。
金をかけたらもうからない。つまり彼らが廃炉にするかしないかの基準は、
もうかるかもうからないかだけなんです。

これはぜひ広めたいと思うんですが、加圧水型という原子炉は、
また別のアキレス腱を持っています。
先ほどお話しした脆性劣化のことは、沸騰水型原子炉も共通です。
いろんなほかの技術についても。
加圧水型原子炉は特に、振動による被害が起きやすい。
それから、高温の水による被害。
それがどこで起きるかというと、蒸気発生器です。
ここのところに、原子炉から300℃の一次冷却水が来て、出ていきます。
そこに二次冷却水が入ってきて、沸騰して水蒸気になってタービンを
回します。そこにはものすごく細い管が束になって密集しています。
直径が22ミリ、厚さがわずか1.3ミリの細い管です。
これが日本の原発の場合だと約6500本、これが1本ずつ逆U字状に
してあります。ぜんぶ合わせて延長すれば、長さ50km。
100万kW級の原発にはこれを4台つけてあります。
ということは、1台50kmが4台で、総延長200km。
この伝熱細管が今までさんざんトラブルを引き起こしてきた。
何かというと、孔が空くんです。
孔が空くたびに栓をして詰めてきた。
でも、どれもこれも孔が空くのでこれは材料が悪いんだ、ということで
取り替えてきました。孔が空く事故は減ってきた。
ところが、もう一つ別の事故が起きた。
ここに水が流れるだけで、振動が起きる。
細管が曲がったところで振動が起きやすいんです。
みなさんの家で、蛇口を閉めたり開けたりしたときに、どこかでカコーンと
音がしませんか。古い安物の家ではだいたい起きます。
あれは、水が曲がるところで急に水が止まったり出たりすると
振動が起きるんですね。ウォーターハンマー、といいます。
それが伝熱細管で起きやすい。
同時に、水が細管の隙間を通ってザーッと流れますから、
当然振動が起きます。川の中に草が生えていると揺れますよね。
あれと同じことです。
その揺れのために、この細い管が磨耗するという事故が起きる。

1991年2月に美浜原発で、
細管を留めている留め金のところが揺れて、ギロチン破断という
事故が起きました。あわや過酷事故という事態でした。
これについては留め金を替えたり、強化したりということで
なんとか防いできたはずなんですが、最近、ぜんぜん別の事故がおきました。
別種の破損。
2012年1月、アメリカのカリフォルニア州サンオノフレ原発3号機で、
細管同士がこすれ合ったためです。今までは留め金のところで起きていた
ものが、今度は細管同士が擦れ合うためにつぶれた。
2号機もあわや、という状態になった。
問題は2010年11月に、三菱重工製の蒸気発生器に交換したばかりだったのに、
1年ちょっとたった段階で事故を起こして、廃炉になってしまいました。
今、三菱重工はものすごい高額の賠償裁判を起こされていますね。
日本の加圧水型原子炉の蒸気発生器はすべて三菱重工製です。

川内原発1号機は、すでに蒸気発生器を新しいものに取り替えています。
ところが再稼働に当たってサンオノフレ原発で事故が起きてから、
2号機では交換を延期しました。取り替えたら事故を起こしそうで危ない。
しかし、取り替えなくても古いから危ない。
要は蒸気発生器は、地震と津波が起きなくても事故を起こす、という
アキレス腱なんです。

そういう原発を今、さらに長い期間動かそうとしています。
40年までというルールがあったのに、もうなし崩しになっています。
典型的なのは、原子力規制委員会の田中俊一委員長の2016年2月24日の
発言です。「費用をかければ技術的な点は克服できる」。
それならばなぜ、運転は40年までなどという原則を作ったのか。
つまり、原則は作ったけれど結局全部壊していく。
それが新規制基準の実態です。いずれにしても安倍政権にしてみたら、
とにかく原発を全部動かさなくてはならないということですから、
規制委員会はそれに沿って動いているだけ、という話ですね。


原子炉の事故も非常に恐いんですが、少なくとも圧力容器や
格納容器が少しでも残っていればまだなんとかなる、ということが
あるんですが、使用済み核燃料の冷却プールは、むき出しです。
建屋の中にはあるんですが。福島では4号機の場合、
ぐしゃぐしゃになって、プールが崩れ落ちそうです。
ニュースでもやってましたね。
アナウンサーは淡々と話していましたが、聞いているほうは
背筋が寒くなりました。崩れたらどうなるのかというのは、
ちょっとこの分野を知っていたらすぐわかるんですね。
政府も実はシミュレーションしました。2011年3月25日の近藤シナリオです。
当時の原子力委員会委員長の近藤駿介氏に要請しました。
そしたら、東京も含めてものすごい人数が移動しなければならない
大事故になると。蓋も何もないし、崩れ落ちても冷却できません。
容れ物がありませんから、逃げるしかないんです。
自衛隊の統合幕僚長に、できるかと訊いてみた。
絶望的です。すべての人間を動かせません、と。
これは全部の原発共通の問題です。
だから、原子炉は絶対に運転しては駄目なんです。
では止まっていれば安全かというとそうじゃない。
もうすでに、大量の使用済核燃料を入れたプールがある限り、
我々はこれからずっと危機に対応する必要があるんだということです。

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第10回、以上です。
今回は分量が多めでしたが、話のつながりを考えて
一挙掲載させていただきました。いかがだったでしょうか。
とても具体的な、原発についての専門的な知識でしたね。
その事実から導かれる危険がいくつもわかりました。
ほんとうに「背筋が寒い」。怖さでゾーッとします。

そして私は、そのような原発が日本にいくつもあること、
その現場で今日も働いておられる方々のことを考えずにはいられません。
事故に直面された方々。亡くなってしまった方々。
福島の前にも。地震がなくとも。
今回の講演ではふれられませんでしたが、
市川先生は冊子『原発再稼働?どうする 放射性廃棄物』で
2004年8月9日の福井県美浜原発のパイプ破裂事故を
あげておられます。
こちらのブログに福井新聞の引用とされる文章があり、
事故の様子が描写されています。
http://blog.goo.ne.jp/jpnx02/e/511bde0540f12b734a8372689455161b

これには書かれていないもっともっと多くのことがあり、
悲しみがあり、怒りがあり、
持って行き場のない思いがある。
個人ではどうしようもない現実がある。
美しい海に建つ原発のまわりで。

それらを私たちは想像することができるはず。
事実を少しでも知ることから。
私にはこの講演録がその大きな助けになりました。
お読みくださったあなたにも、
役立つことを願います。
そして、誰かの悲しみを誰かとわかちあうことで
強くなれますように。
元気になれますように。
実は、奈良・市民放射能測定所はそれができる場所です。
ツキイチ・カフェとともに。

スタッフ・朝守双葉

市川章人さん講演録第6回・(続)新規制基準検証・炉心熔融後、まずやる事が閉じ込め放棄

いよいよ乗ってます、市川先生。
頭脳の回転のスピードと、思考の緻密さを感じさせるトークです。
講演録連載第6回、どうぞ。

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次に「格納容器破損防止対策」とあります。
燃料が溶融したら金属からいろんな気体が発生します。
その気体によって格納容器内の圧力がガンガン高くなっていったら、
下手したら破裂するんですね。
破裂を止めるためにベント、つまり排気をします。それで圧力を下げる。
ベントというのは実は格納容器に穴を開けるんですね。
その時点ですでに原子力技術の敗北なんです。

もともと格納容器は閉じ込めるのが本来の役目です。
その役目を放棄するしかないと、認めているわけですね。
その漏れる量というのが莫大です。止められる保証もありません。
フィルターがあるというがこれも十分ではないということです。
希ガスや気体の有機ヨウ素は出ます。
では、このベントという手段も失敗したらどうなるんだと。
そして最後の手段です。
放射能が漏れると、その漏れに対してどうするか。

政府の資料には写真がついています。建屋に水をかけてます。
原発の外から建屋に向かって水をかけるというわけです。
漏れてるだろうから。効果があると思いますか?
福島の事故で漏れた放射性物質は、雨が降れば落ちましたよね。
確かに水をかければ落ちるんです。だから、効果がないわけじゃない。
ただ、どこに落ちるかはっきりするのかというのが問題ですね。
効果があるといったって、放水銃でかけるだけですから、
私に言わせれば、百万羽のスズメに石を投げてるような話と違うのかと。
仮に全部落ちてもそれは汚染水になる。
大量の、いずれにしても大問題です。これが、彼らが最後に取る対策です。

もう一つ、非常に重要なことが起きました。
実は、事故までは、原発を動かす前にひとつの基準があったんです。
これが「立地審査指針」といいますけれども、
「もし事故を起こした場合に原発の敷地と一般との境界線のところに
いた場合に、浴びる放射線の量が250mSv/h以下にならなければ
運転してはいけない」
という基準だった。これは、国際基準よりも実は甘いんです。
国際基準は100mSv/hなので。ところが、この基準があっては
再稼働はできなくなってしまうんです。それでやめました。
つまり、今まであったルールを規制委員会は取りやめた。
そういう馬鹿なことをやった。
つまり、放射性物質は、いくらまでに抑えなさいということを
書いてあったんですが、実態は野放しになる。
これが新規制基準の本質を一番突いているところではないかと思います。
これで世界最高の基準を保っているなんて大嘘です。

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第6回ここまで。

読んでいて、怒りともはや通り越したような悲しみがこみ上げてきます。
どうしてこんなことになっているのか?という疑問も。

次回は第7回・続けて 新規制基準検証
【 EUの標準装備が採用されていない】 です。
来週火曜のアップを予定しております。

この日曜、18日日曜は
無料測定まつり

です♩♬
ご都合よろしければ ぜひ 気になるものを持って奈良・市民放射能測定所にカモーーーン
手ぶらで見学、遊びにきたよ という方も大歓迎です♬
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スイーツを用意して待ってまーす♬

昼間は蒸しますが朝夕は冷えます、
みなさま風邪などお気をつけて。

スタッフ・ふた